介護士として介護施設や訪問介護で働いていると、様々な状態の高齢者のケアに携わることになる。
介護は、医療のように診断をして保険治療を行うといった確立された対応法が定められているわけではないので、個々に適切なケアを行わなければならない大変さがあるだろう。
効率的な業務や、最低限の満足を得られるケアを実施しようとした場合、様々なケースでの一般的な対応法を実践しようと考えてしまうことが多い。しかし、そういった対応方法を選んだ介護士は高齢者にあまり受け入れてもらえず、苦労することが多いのだ。
介護で重要なのは、一般的なケアを行うことが全てではないというところだ。食事を受け付けてくれないという場合でも、その原因が嫌いな食材が入っているからなのか、飲み込むことが辛いのか、食事を食事として認識できていないのか、お腹が空いているという認識ができなくなっているのかなど、原因は個々の事情によって大きく異なるのだ。
個人の意志を尊重して適切な対応方法を行うためには、高齢者が何を考えているか、どうして欲しいかを問いかけて意志を明確に聞き出す必要がある。状況判断だけで、一般的に適切とされるケアを行っていくと、相手の意志に反する対応をしてしまうことになりかねないのだ。
個人の意志を尊重するという観点から、とにかく高齢者との会話を大切にするのが介護士の基本だろう。高齢者が少しでも意見を言ってくれたら、それをしっかりと拾ってコミュニケーションを取り、いつでも気軽に話してもらえるようになるのが重要なのだ。
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